GREEの第17回オープンソーステクノロジー勉強会「誤解と実際 〜 「パブリックイメージ」と自身が関わってきた「でびあん」について」参加記録
第17回オープンソーステクノロジー勉強会に行ってきた@六本木。参加動機は、大学1〜2年までは、LinuxはずっとDebianを使っていたから。Fedoraが騒がれ始めたころから、Fedoraに移ってしまったけど。この記事で言いたいのは、次の二つ。
- Debianプロジェクトの体制は、Wikipediaの体制とよく似ている
- この手の「誰でもwelcome」な巨大組織で責任を持つ立場になっているかどうかは、コミュニケーション能力の有無の非常に良い指標になっている
ということ。
まず、Wikipediaの体制との類似性について。自分は、Wikipediaの方で少し活動していたことがあるのだけれど、基本的には誰でもwelcomeな組織で、ちゃんと仕事を進められる組織にしようと思うと、組織の作り方はどの世界でも似た形になるのだと思う。
- 責任者(責任を持って仕事してくれる人)を作る
- 責任者になる人を選挙/既存の責任者の推薦、などで決める
こうすることで、そのコミュニティで仕事をした人が評価される仕組み出来るのだろう。「誰でもwelcomeだけど、仕事をやる以上は、ちゃんとやって欲しい」というのはどこにでもあるニーズなのだと思う。
Wikipediaの場合は、(このネーミングは悪いとされているが)管理者という存在がいて、記事を削除する権限を持てる。この管理者が、上記の「責任者」になるわけだ。管理者は、選挙権を持つメンバーの選挙で決まる。選挙権の有無は、直近の編集回数などの基準で決められており、管理者もメンバーも票の重みは同じ。細かいことは、直接対話で決まる。(Wikipediaでは、どのメンバーがどの記事をいつどのように編集したかがすべて記録・公開されている)
で、Wikipediaの選挙の様子をいくつもみているが、立候補して皆が管理者になれるわけではなく、落選するケースもボロボロでる。Wikipedia日本語版は管理者不足なので「基本的には管理者を増やすべきだ」というコンセンサスが既存の管理者/選挙権者の間であるにも関わらず、だ。
さて、皆、どういうところで落ちているというのを見ると、実は、コミュニケーションの問題で落ちているケースが大半。なので、Wikipediaの管理者をやっていたか否かは、コミュニケーション能力を見る、非常に良い指標になっている。企業がどれぐらい重視するか知らないが、コミュニケーション能力を10段階で評価しろ、と言われて、Wikipediaの管理者をやっている人がきたら、僕は、それだけで、4〜5点プラスして考えてもよいとさえ思う。それぐらい、こういう民主的なコミュニティで指導的な立場に立てるかどうかというのは、重要な指標だ。
なぜって、Wikipediaの活動の間に、「この記事は削除すべきでしょうか」とか、「何でこの記事のこの部分を消したんでしょうか」とか、色々細かい意見のやりとりが延々と続く。そういう時に一時的にでも攻撃的になってしまったり、脅しつけるようなことを言ったりすると、管理者になるのはかなり難しくなるのだ。管理者への立候補の時に反対票を入れる人が出るからだ。立候補時に受けた質問について、的確な回答ができない場合も、落選する大きな原因の一つだ。
単純な比較はできないかもしれないが、WikipediaとDebianが似たような体制を取っているのなら、Debianで指導的な立場にある人は、コミュニケーション能力がかなり高い人だと思う。しかも、英語の。(Wikipedia日本語版では、コミュニケーションは基本的に日本語)大学生が就職する時に、「サークルで指導的な立場に立って、新入生を何人入れました」みたいなことをエントリーシートに書いて評価されるのであれば、「Wikipedia日本語版/Debianで管理者/Developerやってました」というのは、その2倍ぐらい評価されていいと思う。
Wikipediaで何回も管理者に立候補しているのに、何回も落ちている人は、たまに見かける。そういうのを見ていると、ちゃんと、コミュニティ上におけるコミュニケーションの取り方に対するマニュアルみたいなものが必要だ、と感じる。この勉強会のスライドは、そのマニュアルとして使えるぐらい、いい資料になっていたと思う。Debianに興味がなくても、コミュニケーション能力のHOWTOだと思って読むだけでも価値があると思った。
キーワード・面白かったこと:
- 若い人と年寄りが多い
- FTBFS bugs- fail to build from source
- 私の嫁は実に出来ている嫁です
- RFP
- Request for package(パッケージにしてよ)
- 公式パッケージ以外の方法
- alien
- checkinstall
- equivs
- でも、出来れば、公式パッケージにして共有してください。
- この辺りの資料は、Debian勉強会に載っている
- パッケージの作り方
- dh-make
- debhelper
- などなど
- PolicyとTool
- パッケージはDebian Policyに従って作成される
- パッケージは2万超もある
- Useful tools for check
- Policy compliant
- lintian
- cleanroom build
- pbuilder, quemubuilder, cowdancer
- install, uninstall, upgrade test
-
- piuparts
-
- Policy compliant
- litian.debian.org
- パッケージがちゃんとどこでも動くパッケージになっているかチェックできる
- DEHS
- Debian External Health Checker
- Debian BTS (Bug Tracking system)
- 何度も出てきた
- 非常に重要
- 開発プロセス
- Eat your own dogfood!
- release often, release early
- Debianがリリース遅いのは、安定版と認められるまでのチェックが厳しいから
- experimental->unstable->testing->stable
- 活動は頻繁に行われている
- packages.debian.org
- qa.debian.org
- packages overview for maintainers
- Releaseが遅いと言われるが・・・・
- 色々なアーキテクチャを扱う方法
- buildd
- ビルドデーモン
- 様々なアーキテクチャでの、ビルド時のログが参照可能
- 運用は各個で実施
- 企業からの援助も多い
- buildd
- 寄付してください
- Archive Service
- Snapshot Serviceのためのマシン募集中
- Debian runs on
- Bug fix and "unblock" request
- 半年ぐらいかかる
- OfficeやExchangeなどを丸ごとリリースしているのと同じであることを考えれば、特に遅くはない
- どこで使われているのか
- QNAP
- Lenny
- Nokia i810
- QNAP
- Rubyのプラットフォーム
- どこから参加するか?
- 出来ることから!
- 使うこと
- 翻訳の査読(日本語)
- バグ報告をメーリングリストに投げる
- 出来ることから!
- 変化はゆっくりだが起きている
- Debian JP Project (http://www.debian.or.jp/)
- 東京/関西エリア Debian 勉強会
メモ:
- はじめに
- Universal OS
- あらゆるマシンでフリーなソフトウェアによるシステムを作り上げ、誰もが使えるOSを。
- 様々なアーキテクチャ
- 州の公的な機関での使用実績(商用ソフトではpayしないような分野にも進出できるので)
- DzhonkaLinux:ゾンカ語版Linux
- GnuLinEx
- 63ヶ国語サポート
- フリーソフトウェアガイドライン(DFSG)
- Free以外を拒絶しているわけではない
- mainが完璧フリー
- contrib
- non-free
- debian-multimedia.org
- ボランティア運営
- この規模としては稀有
- 誰でも参加できるよ
- Official Developers: 1200人
- ただ、メインの部分はDebian Developer (DD)が作っている
- なるためにはNM (New Maintainer Process)を経る必要がある
岩松信洋氏の話
-
- Debian JP Project Leader
- New Maintainer Processとは
- このチェックを通らないとDebian Developerにはなれない
- Debian Developerになると何ができるのか?
- NMプロセスの流れ
・・・この辺りで、メモを中断